「あなたが」映像化不可能と考えている小説・漫画を教えてください。

「あなたが」映像化不可能と考えている小説・漫画を教えてください。
必ずその根拠となる理由も教えてください。

ただし、歌野 晶午の「葉桜の季節に君を想うということ」が映像化不可能だとは思いますが、この手の理由(なぜ映像化不可能かを公の場で説明できない。)での回答はなしでお願いします。

http://q.hatena.ne.jp/1173577351

と言うわけで、考えてみた。
ぱっと、ディアスポラなどのハードSFやクトゥルフなどのホラーが思い浮かぶが、やっぱり一番やりにくいのは、舞台背景が派手だったり、想像もつかない、といった視覚的な要素に訴えかけるのではなく、その物語自体がその媒体と強く関連付けられているものなんではないか、と思う。
と言うわけで、個人的にまず無理、と思っているのが川上稔の「閉鎖都市 巴里」。
何故不可能か。
この本は様々な特色を持つ架空の都市(ただし、都市名やその原型のイメージは現実のものを流用)を舞台とする、都市シリーズという作品群の一冊だが、この本の都市、巴里の特色は、全ての事柄が記帳によって存在する文字世界であること。

この都市では”地の分である一人称の詞認筆”で、自分なりの事実をつくることができる。資料が見つからなくても、私が資料を”見つけた”と詞認筆しれば見つけたことになる。
でも、”事実”、つまり資料が本当にあったかどうかは私の思惑とは別に存在する。
この、自分の中に第三者的”事実”を挿入することを”加詞筆”という。
戦闘で言えば、私や相手の思惑が”詞認筆”で、その結果が”加詞筆”。自分の行動ばかりを詞認筆していると、相手の行動と自分の行動が噛み合わなくなる。
噛み合わない場合はどうなるか?
”正しい情報の方が勝つ”

それに習って、本文も全て日記、手紙、張り紙、報告書などの形で書かれており、非常に映像化しにくいと思う。