ルビとか

日本語の文章って,ルビがあるおかげでかなり表現が豊かになっているよなあ,と本読んでいると良く思う.
というわけで,本日はIE推奨.firefoxとかはデフォルトで対応していないようなので.一応,そのための拡張があるみたいだけど,だめっすね.元の文とルビが同じ大きさのフォントで表示されちゃう.

ルビを使うことによって文章での表現の幅を大きく広げることができる.難しい漢字の読み仮名をふることにより,読み方を容易に理解することができるようになる.逆に,英語や,それ以外の言語(地球上に存在しないようなものでも)のルビをふることによって,それ自身では意味が理解できない音に意味を与えることができる.(やはり,ルビふりで一番派手なのは,「星界」シリーズだろうか.艦隊(グラーガ・)旗艦(ビューラル)司令長官(グラハレル)反物質燃料製造工場(ヨーズ)偵察分艦隊(ヤドビュール・ウセム)とか,オリジナルの言語の単語が大量に出てくるけど,ルビ+漢字(表意文字)ないとこの表現は難しいよなあ)*1さらに,ルビふる方,ふられる方の両方とも理解できる単語であっても,それらを組み合わせることでまた別なニュアンスに変わったりもする.(有名どころで言うと,強敵(とも)とか)

で,なんでこんな話をいまさらしているのかと言うと,この前買ったスプライトシュピーゲルIという本にこれらとはまた違ったルビの使い方があったのでテンション上がって書きたくなった,という次第です。どんな使い方かと言うと,効果音と同時に物語を進行させる,という使い方.
こんな感じ.

激しい風の音の向こうからやってくる、壊れた笛が出すような、ひゅるひゅるという音。
掃射(ダダダ!)=鳳の右手の機銃が凄まじい連射速度で火線を吐き出して切迫する音を迎撃。(ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ)
そして青空の一点で閃光が生じたと思うや――(ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ)
雷鳴のような爆発音が、大空に囂々(ごうごう)とこだました。
<<初弾を撃墜>>

通常,文章は映像や音声と異なり,直列(シーケンシャル)にしか記述することが出来ないので,「出来事」->「出来事」->「出来事」->・・・となります.そのため,上記のような場面を描く時は,「掃射音が連続して鳴り響いた」->後の音以外の描写,として書かざるを得ず,どうしても複数の出来事が平行して実行する場面が非常に苦手なのです.しかし,ルビと組み合わせることでその欠点を克服する,というのは,非常にうまいなあ,と感じたのでした.

その他にも,

雛=酸味党。几帳面に唇中央にくわえたストロー/歯が溶けて無くなってしまいそうな炭酸風味のレモン汁を、吸入(チュー)/嚥下(ゴクリ)/吸入(チュー)/嚥下(ゴクリ)=無表情――忘我の境地。

といったような/,=などを用いた独特の表現が多く,なかなか楽しめます.

*1:SFやファンタジーにおいて,ルビふりは「新鮮な造語を作る」ということと「その意味を理解させる」という二つを両立させることができる,という点で必須なのだろうなあ.つか,外国の人らってその点(造語が作りにくい)物足りなくないのかいつも気になる.